基盤にマイクロスケール(※1)の流路(※2)を彫り込んだものをマイクロ流路チップ(マイクロ流路デバイス)と呼びます。
※1. 一般的に幅または深さ1mm以下
※2. 流体が流れる溝
マイクロ流路チップは特に化学分析の際に多く利用されており、PCR検査等の医療バイオ分野だけでなく、水質調査等の環境分野や、食品衛生管理等の食品分野にも幅広く展開しています。
現在主となる医療分野では、試薬と検体(少量の血液やDNAなどの体液サンプル)を、マイクロ流体力学(マイクロフルイディクス/ microfluidics)などの特性を利用し、通常はロボットを使うような高いレベルで精緻に混合、分離、反応させ、それらの観察を可能にしています。
これによりPOCT(臨床現場即時検査)や迅速な創薬・創液や、生化学分析等に貢献しているデバイスです。
用途、目的により様々な呼称があり、医療分野だけでも次のように細分化されます。
ラボ オン チップ …マイクロ流路チップ(マイクロ流路デバイス)の別称
オルガン オン チップ …マイクロ流路で臓器(オルガン)の持つ生体機能を表現するチップ
ヒューマン オン チップ …複数のオルガンオンチップを集積化することで、生体システム全体を再現するチップ
基盤の材質は主にガラスやPDMS、樹脂が使われています。
その中でも樹脂は最近になって使われ始めた材料で、現在の主流はPDMSとガラスです。
材質による利点を以下にまとめます。
量産性 | 耐薬性 | 形状自由度 | 一般的な選定目的 |
備考 |
|
---|---|---|---|---|---|
ガラス | × | ◎ | × |
流体※3の種類を問わず使用可能なため、
研究目的で選ばれることが多い ※3 薬液や検体など |
・洗浄滅菌して再利用する場合が多い ・硬度が高いが、割れやすい |
PDMS | 〇 | △ | 〇 | 流路形状の変更が最も容易なため、 試作目的で選ばれることが多い |
・他の二種と比べ、質感が柔らかい ・タンパク質吸着性が分析を阻害する場合がある |
樹脂 | ◎ | 〇 | 〇 | 射出成形によって作られるため、 量産目的で選ばれることが多い |
・射出成形型の作製に初期費用が掛かる ・樹脂種が豊富で、薬品に合ったグレードの選定が可能 |
面粗度による不具合
流路面(②~⑤)が粗いと、流体が思うように流れない可能性があります。
流路にフタをする際の接合面(①)に関しても、粗い場合に液漏れが発生する可能性があります。
良質な面粗さを実現するためには、精緻な磨きの技術とそれを転写する成形技術が求められ、どちらが欠けても実現することはできません。
マイクロ流路チップでは一般的にRa0.01以下の表面粗さが求められます。
弊社で作った流路チップの面粗さと流路幅、深さの実績がこちらです。
全ての面でRa0.01以下を実現しています。
No. | 面粗さ(実績例) 〔μm〕 |
最小流路幅 〔mm〕 |
最小流路深 〔mm〕 |
---|---|---|---|
① | Ra0.0050 | 0.02以下 | 0.02以下 |
② | Ra0.0042 | ||
③ | Ra0.0037 | ||
④ | Ra0.0032 | ||
⑤ | Ra0.0035 |
精工技研ではチップ成形後の工程まで承っております。
弊社では金型の製作だけではなく、成形から流路の封止対応まで承っており、これらの作業を一貫してクリーンルーム内(クラス10000)にて行うことが出来ます。
封止方法はお客様の求める特性に合わせて最適な方法を提供いたします。
樹脂製マイクロ流路チップの量産を考えているけど、うまくいくのか不安を抱えている。
そんなお客様のため、株式会社精工技研では、量産を見据えた試作用金型の製作
また、社内に試作成形用の金型、設備も揃えております。
まずはお気軽にお問い合わせください!
お客様のニーズに合わせた、金型製作、設計、製造を目指し、対応させて頂きます。
電話でのお問合せ047-386-3111
(精機関連 営業担当) 月~金 8:30~17:30
PAGE TOP